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鳥取伝統芸能アーカイブス
運営主体/NPO法人プロデュース・ハレ
監修/鳥取県教育委員会
協力/鳥取県内各市町村教育委員会

東部の伝統芸能

東部に伝承されている芸能は種類・数ともに多く、全体の3分の2を占めています。特に多くを占めるのは獅子舞と盆踊りですが、能・人形芝居といった舞台芸も東部が中心となっています。

~獅子舞~

 獅子舞は、麒麟獅子舞と神楽獅子舞の2つに分類しています。前者は、頭部に一角を持つ麒麟獅子頭を用いた二人立ちの獅子舞で、あやし役に猩々がつきます。鳥取藩初代藩主池田光仲が、日光東照宮の御神霊を祀る鳥取東照宮を建立し、その祭礼の行列に麒麟獅子舞を登場させたのが始まりだと考えられています。現鳥取東照宮には伝わっていませんが、そこから直接教えを受けた地域では、「権現流」と称して当初の様相を伝えています。現在残る伝承では、28もの神社が直接習ったとされていますが、特に因幡一ノ宮の宇倍神社に最もよく受け継がれているといわれています。
 一方の神楽獅子舞は、唐獅子形の獅子頭を用いるやはり二人立ちの獅子舞です。鳥取市佐治町に多くみられ、伊勢太神楽(国指定重要無形民俗文化財)の影響を受けて成立したと伝わっています。また、麒麟獅子舞の影響を受けたものあり、獅子頭は唐獅子形ながら、あやし役が猩々であるものもいくつかみられます。
 ちなみに、中部・西部の獅子舞は少ないですが、獅子が登場する祭礼はよくみられます。


宇倍神社麒麟獅子舞2006                       大和佐美命神社麒麟獅子舞2011
もっともよく受け継がれているとされる。県指定。          同じく権現流と伝わる獅子舞の門付け。県指定。

口佐治神社獅子舞2010(古市成年会提供)           岩坪神社獅子舞2013
伊勢大神楽の影響を受けている。県指定              神楽獅子舞だが猩々がつく。2頭舞うのも特徴。県指定

三徳山御幸行列の3人立ちの獅子2008              境港市渡町の1人立ちの獅子2012


~盆踊り系~

 盆踊りは、盆に訪れる死者の霊(精霊、無縁仏や餓鬼などの怨霊)を慰め、歓待し、また送り出す、供養のための踊りです。もともとは、念仏踊りや風流踊りを仏の供養に踊ったものと考えられ、中世には記録に登場するものです。
 中・西部は輪になって踊るのが一般的ですが、東部では3種類の形態がみられます。1つは中・西部と同様に輪になって踊るもので、2つ目は踊り手が幾列かの列になり、前後左右に大きく動くことなく自分の立っているところで踊るものです。3つ目は少人数で組を作り、一列になって踊るもので、手に持つものに応じて傘踊り・手笠踊り・手踊り(何も持たない)に分類されます。冒頭で紹介した傘踊りはこの系統になります。鳥取市・旧岩美郡・旧八頭郡でよくみられるこの踊りは、8月14日に初盆の家をまわって盆踊りを行い、精霊供養を行うことでも知られています。


日置のはねそ2013                           上地の盆踊り
輪になって踊る形態。県指定。                    (鳥取県教育委員会1993『鳥取県の民俗芸能』より)
                                        踊り手があまり動かない形態。


因幡の傘踊り2008                           牧谷のはねそ2004
少人数の組で列になって踊る。県指定。              男女対になって踊る。県指定。